森からの揺さぶり

初冬の森

キーンと冷たい空気に身を包まれる日が増えてきましたね。どうやら本格的な冬が到来したようです。
さて、今日一緒に歩く彼女は、今日が初めての森歩きです。特に、カウンセラーへ話したいことがあってというわけではなく、大人になってから、森へ行きたいと思っても、どこへ行ったらいいのか、また、一人で行くには不安もあるし・・・、かといって、どこかのグループに入るほど歩きたいわけでもなくて・・・と、何か適当なものがないかと探していたところ、この森林散策カウンセリングを見つけたそうです。
さあ、これからはじまる森歩き。彼女はいったい何を見つけていくのでしょう。

――今日が第1回目ということで、まずは、森を楽しみながら歩いていきましょう。

―はい、よろしくお願いします。

――季節が、ちょうど秋から冬に変わったので、森の様子は、これからまた変化していきますよ。

―そうなんですね・・・・・・・・。こうやって冬に森の中を歩くことって、今まで、考えたこともなくて・・・。昔は秋になると、よく、祖父母がお友達たちと紅葉狩りに出かけていたことがあったので、森へ行くイメージはありましたけど、冬にスキーやスノボー以外で森へ出かける人は周りにもいなくて・・・、だから、今日はすごい新鮮な気持ちでやって来ました。

――記念すべき日になりますね!

―ほんとにそうです!大人になってからも、初めて体験することがあるのは嬉しいですね。

と、嬉しそうに彼女は話してくれました。

――カサカサ、パリパリッ、いろいろな音が鳴りますね。

―はい!小学生の時に行った遠足を思い出します。友達とふざけながら、こうやって落ち葉の上を歩きました・・・。ただ歩くだけなんですが、自然の中では、自分達が何でもかんでもできちゃうような気持ちになってたような・・・。転んでも楽しいし、痛くないし、ハイパーテンションで走り回ってたような・・・(笑)、今思うとかわいいですけどね♪・・・・その頃の情景が、不思議と蘇ってきますね・・・・・・・・・。

――子どもの感性って素直で素敵ですね。

―ほんとに!子どもながらにも、学校とは違うところに来てるんだなあっていう感覚がとてもありましたね。でも、あの時感じていた感覚って、いつの間にか無くなってしまいましたね。ここに来るまで思い出したこともなかったですし。

――不思議ですね・・・。でも、思い出したっていうことは、無くなってしまってたわけではなく、体のどこかに残っていたんだろうなあと感じます。

―確かに、そう言われてみればそうですね。

と、そこで、カウンセラーは立ち止まり、階段のある方へ顔を向けました。

―わぁ~なんて綺麗なんでしょう。ここは、明るいですね。

――そうですね!黄葉した葉っぱがわずかに残っているので、頭上がより華やかで明るく見えますね。

―黄葉した森の中って、こんなにも綺麗なんですね。外から見て綺麗だなと思いましたけど、森の中は、また違う印象の綺麗さですね・・・。ん~、ず~っと見ていても飽きないぐらいです。

――はい、心の底から綺麗だなあと思うと、言葉も失うほどそのものに見とれてしまいます。

―気持ちが躍るというか、「わぁー」っていう何か胸が熱くなるような思いがしてきます。自然を見ただけで、こんなにも自分が感動するなんて、思いもよらなかったです。

と、彼女は言ってから、口数が減り、そのまま最後まで歩いていきました。

――そろそろ、今日の森歩きも終わりになりますが、初めて森を歩いて、いかがでしたか?

―はい・・・、とても楽しかったです。特に、今まで味わったことのない気持ちが色々出てきて・・・、はじめは、感動したり、驚いたりして、自然がこんなにも美しいところなのかと、あらためて知りました。もちろん、自然が美しいのは十分に分かってはいたんですが、なんていうか・・・、ここに実際に来てみないと、こんなふうに自分の気持ちが揺さぶられるというか、動かされるというか、ぴったりした表現が見つからないんですが、こういう感覚が味わえなかっただろうなと思いました。

――それは、いろいろと忙しかったですね。

―はい。小さい頃の自分を思い出したり、昔読んだ本の内容が思い浮かんだり・・・、また、それとは反対に、やらなきゃいけないこともいろいろ見えてきたりして・・・。それは、何かと自分の中で触れたくなかったようなもので、「あ~やらないとなあ~」って、思いました。

――なるほど、少し重い気持ちも現れたんですね。

―はい。やっぱり、これから整理していきたいなと思いました。

――これから、一緒に整理していきましょう。

―はい、よろしくお願いします。

と、彼女は、ほっとしたような表情になりました。

 自分のペースで、安心して、森の中を歩くと、そこにある自然をより愛でることができるようです。景色をじっと見つめてみたり、植物に近づいて覗き込んでみたりするなど、少し時間をかけて自然に触れ合うようになっていくようです。そうなると、新たな発見がそこから得られ、さらに、感動したり、驚いたり、ワクワクしたりする感情が起こり、それによって、自分の気持ちや考えもいろいろと現れてくるのではないかと感じています。
 森を歩く楽しみって、単に、自然の美しさに触れたり、動植物を見たり聞いたりしているだけではないのだと思います。実は、森の自然と触れ合いながらも、自分自身ともしっかり対話をしていることでウキウキしてくるのではないでしょうか。だからこそ、その場で安心できる森林散策カウンセラーに話したくなるのかもしれません。
 来月も、楽しみながら、いろいろなお話を聞かせてくださいね。

ブログ執筆者
竹内啓恵 https://jumoku.co.jp/info/b201906-2/