森の中の健気な姿

1:夏の森

2:フタリシズカ

彼女との森林散策カウンセリングは、今日でちょうど12回目。1年前の彼女といえば、自然は好きだけれど、森の中にある植物と樹木の違いを意識することはなく、「ただただ緑がたくさんある所が森!」という感覚で、一緒に歩き始めました。そんな彼女が12回目の森林散策カウンセリングともなると、こんな言葉がひょいと現れるようになったのです。

―かわいい~。フタリシズカだ!

――え!!!どこにありました?

―ほら、ここに!

な、な、なんと!カウンセラーの私よりも先に、しかも、それほどメジャーではない植物をひょいと見つけるようになっているとは!!!
先を越された感じで悔しいような、でも植物への興味に嬉しいような・・・。

と、心のなかで思いを巡らせていましたが、

この彼女の一言は、今日まで続けてきた1年という時間の重さと、それによって培われてきた彼女の成長とを実感させられて、ぐっと胸が熱くなってくるのを感じせずにはいられなくなりました。

彼女はその場に屈み、じーっと植物を見つめ始めます。

―米粒ぐらいの、ちっちゃな花が、ジグザグに並んでる~。
面白いというか、可憐というか・・・。
目立たないけど、健気というか・・・。

と説明する彼女の言葉は、自分自身をその花に重ね合わせて表現しているかのように聞こえます。

―素敵だなあ。

と、つぶやき、愛おしそうに見つめる彼女は、森の中に木漏れ日がさしているかのように輝いていて、「本当に素敵だなあ」と感じました。

1年前、植物のことなどほとんど知らなかった彼女が、植物の繁茂したこの森の中で、よくぞフタリシズカを見つけられるようになったものだなあと感心するばかりです。その上、花の付き方を細かく観察し、その描写をカウンセラーに表現するようになったなんて、ウルッときてしまいます。毎月1回、森林散策カウンセリングを続けてきて、本当に良かったなあと思いました。

~森のメモ~

フタリシズカ 草本植物 センリョウ科 学名:Chloranthus serratusフタリシズカ 草本植物 センリョウ科
学名:Chloranthus serratus

花期は4~6月。山野の林に生える多年草。葉が咲いてから茎の先に数本の穂状花序(花)が咲きます。和名は、花穂が2個のものが多いので、ヒトリシズカに対して付けられという説と、能楽「二人静」の静御前とその幽霊の二人が舞う姿との説があります。
とはいえ、こちらの写真のように、花序が複数ある場合もあります。この場合は、何人になるのでしょうね(笑)。